チラーヂンS(一般名:レボチロキシン)はどんな薬?
チラーヂンSは甲状腺機能低下症の治療に用いられ、体内で不足している甲状腺ホルモンを補う役割を果たします。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促進し、エネルギーの産生や体温の調節など、生命維持に欠かせない働きを担っています。ホルモンが不足すると、疲労感、体重増加、悪寒などの症状が現れるため、適切な治療が必要です。
チラーヂンSの名称について
チラーヂンSの「S」とは?
クイズの解説部分となりますが、Sは合成(Synthesis)甲状腺ホルモン製剤の「S」です。 チラーヂン(Thyradin)は甲状腺(Thyroid)に由来します(インタビューフォーム参照)。
チラージンSとチラーヂンSは、どちらの表記が正しい?
商標は「チラーヂン®」になっているため、正しくはチラーヂンです。
英語での表記はThyradin®です。
チラーヂンはT4製剤?T3製剤?
甲状腺ホルモンは構造中に含むヨウ素の数が3つのトリヨードチロニン(T3,活性型ホルモン)とヨウ素を4つもつレボチロキシン(T4,貯蔵型ホルモン)がありますが、チラーヂンS(一般名:レボチロキシン)はT4製剤に該当します。
ちなみに、T3製剤としては、チロナミン(リオチロニン)があります。

T3製剤は生理活性が高く(4~10倍)、T4製剤は半減期が長い特徴があります。
カバさーんヨウ素が1つ付いてるかどうかで生理活性が大きく変わるんだね。
T3製剤とT4製剤の要点まとめ
- 多く(約9割)はT4の状態で存在し、末梢臓器で必要に応じてT3へ変換され活性を示す
- T3、T4の99%はタンパク質と結合した状態で存在し、いずれも遊離型の状態で生理活性を示す
- 生理活性はT3>T4、半減期はT4>T3
食事の影響を受けやすい点に注意
大豆やCa,Mg、食物繊維を多く含む食品やエスプレッソ等と一緒にチラーヂンを服用すると吸収が阻害され、逆にビタミンCは吸収を促進させます。
こう聞くと、ビタミンCを多く含む野菜ジュースと一緒に飲む方が良いのでは?と思うかもしれませんが、多くは食物繊維も多量に含まれるため、結果的に吸収が阻害されてしまいます。
食前?食後?いつ飲めばいい?
添付文書に食前、食後等の指定はありませんが、消化管から吸収される量を一定にし、血中濃度を安定させるために、朝食前(食事の30分以上前)や就寝前の服用が推奨されます。
鉄(非ヘム鉄)も同様に、吸収は食事の影響を受けやすいですが、非ヘム鉄の吸収を高める成分はどれでしょうか?


ヨウ素の摂りすぎにより悪化するのは甲状腺機能亢進症?低下症?
甲状腺機能亢進時にヨウ素を過剰摂取すると、甲状腺ホルモンの生成が活発になり、甲状腺亢進症が悪化することがあります。
逆に、甲状腺機能低下症時にヨウ素を摂取した場合、不足している甲状腺ホルモンを補い症状が改善しそうなイメージですが、過剰にヨウ素を摂取した場合、甲状腺内にヨウ素が蓄積され、甲状腺ホルモン生成過程におけるヨウ素化反応が抑制され、甲状腺ホルモン産生が低下します(Wolff-Chaikoff効果)。
その結果、甲状腺機能低下症が悪化することがあります。
参考文献
- American Thyroid Association (ATA) Guideline: Management of Thyroid Disease
- Bethesda, MD: National Center for Biotechnology Information (NCBI): Levothyroxine – StatPearls
- Bach-Huynh, T. G. et al. (2009). Timing of levothyroxine administration affects serum thyrotropin concentration. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 94(10), 3905–3911.
- Chon, J. W. et al. (2013). Serum thyrotropin levels following levothyroxine administration at breakfast. Thyroid, 23(1), 78–82.
チラーヂンSの名前の由来をご存知ですか?甲状腺ホルモン製剤として広く使われる薬ですが、名前の由来とその役割につ…









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