解説
そもそも結核ってどんな病気?
ツベルクリン反応の話をする前に、まずは「結核(けっかく)」という病気について簡単に知っておきましょう。
結核とは?
結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)という細菌によって引き起こされる感染症です。
主に肺に感染しますが、骨・リンパ節・腎臓など、全身のさまざまな臓器にも感染することがあります。
「結核は昔の病気」と思われがちですが、実は今でも年間1万人以上の新規患者が報告されています。特に高齢者や免疫力の低下している人、医療・福祉関係者にとっては注意が必要な感染症です。
発症のきっかけは「免疫力の低下」
結核菌に感染しても、すぐに発病するとは限りません。
多くの場合、菌は体内に潜伏し、免疫力がしっかりしていれば抑え込まれます(これを潜伏結核感染と呼びます)。
しかし、高齢者・がん患者・糖尿病の方・免疫抑制薬を使っている方など、免疫力が低下すると発症する可能性があります。
主な症状
- 長引く咳(2週間以上)
- 微熱、寝汗
- 痰や血痰
- 食欲不振、体重減少
初期には症状が目立たないことも多く、感染に気づきにくい点が特徴です。
感染経路
結核は、空気感染によって広がります。
結核患者が咳やくしゃみをしたときに放出される飛沫核(とても小さな粒子)を吸い込むことで感染します。
二類感染症に分類
感染症法において、結核は二類感染症に指定されています。これは、感染力や重症化リスクが高く、適切な診断と届出、隔離や治療が必要とされる感染症であることを意味します。
ツベルクリン検査について
ツベルクリン反応とは?
ツベルクリン反応(Tuberculin Skin Test:TST)は、「結核菌に対する免疫反応があるかどうか」を調べる皮膚検査です。
結核菌の事を英語でMycobacterium tuberculosisというよ。
具体的には、ツベルクリンと呼ばれるタンパク質(結核菌の成分)を皮膚に注射し、一定時間後にその部位に炎症(赤みや腫れ)が起きるかを観察します。
この検査は、次のようなことを判断するために行われます。
ツベルクリン検査の目的
- 過去に結核菌に感染したことがあるか
- 現在、活動性の結核を起こしているかの判断
- BCGワクチン接種歴の確認
BCGワクチンは、結核を予防するために生後5〜8ヶ月の乳児に接種する生ワクチンのことだよ!
ツベルクリン検査の仕組み
ツベルクリン液は、病原性を持たない結核菌の抽出物です。
これを皮膚(前腕の内側)に注射すると、すでに結核菌に感染したことがある人では、免疫システムが過剰に反応して炎症が起こります。
これを「陽性反応」と呼びます。
逆に、感染したことがない人では、反応は起きにくく「陰性」と判断されます。
判定の基準
48〜72時間後に注射部位を確認し、硬く腫れた部分(硬結)の大きさを測ります。
BCG接種をしていると陽性になりやすいため、年齢や接種歴を踏まえた慎重な判断が必要です。
ただし、ツベルクリン反応はあくまで「感染の有無を推測するスクリーニング検査」です。
実際に結核を発病しているかどうかは、胸部X線や喀痰検査など、他の検査と組み合わせて診断されます。
最近はIGRAが主流に
近年では、より正確な結核感染の判断ができるIGRA(インターフェロンγ遊離試験)という血液検査が主流になりつつあります。
特にBCGワクチンの影響を受けにくいため、成人のスクリーニングにはIGRAが用いられるケースも増えています。
point
- ツベルクリン反応は、結核菌に対する免疫反応の有無を調べる皮膚検査
- 結果は過去に感染していたかを推定する材料になる
- 陽性でも必ずしも発病しているわけではない(確定診断には他の検査が必要)
- 現在ではIGRAという血液検査も併用されている
参考文献
- 厚生労働省「結核に関するQ&A」
- 日本結核病学会「ツベルクリン反応とIGRAについて」
- 国立感染症研究所「結核の基礎知識」
- 結核予防会「結核について知る」
ツベルクリン反応に関する記事です。この検査でわかることや反応の見方について、シンプルでわかりやすく解説していま…









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